ひとり、いなくなった。

3年前、首を切った自○未遂でICUから生還した直後の彼女から連絡がきた。
出会いはマチアプでひと晩だけの付き合いだった歳下の女性。
彼女は多彩で知能が高かったけど社会に絶望してたし、男を毛嫌いしてた。
運の良さだけで生き抜いてきた僕だけど、彼女から受けた相談には共感してしまった。
当時の僕は極度の躁状態で、勢いのまま彼女に家を契約してMacBookを買い与えた。

UXデザインの仕事を容赦なく叩き込んだ。
同情を与えるより、まず仕事を与えた方が彼女のためだと思ったから。
UXデザインの仕事のあらゆるタスクは、偏った高い知能を大衆向けにチューニングする必要があり、世界の解像度を高めて彼女の尖った心を鎮めるのに最適だと考えたから。
それから約2年半。 仕事、家賃、食事、メンタル、性。
全てを面倒みていた。
性に関しては序盤以降ほとんど管理していなかったけど。
それと同時に、2人目の秘書として僕の不得意を補ってくれていた。
でも、僕は彼女の一生を背負うことはできないし、複数の女性を囲うスタイルを変えない。
なぜなら人生柄、圧倒的に自分がギブする事の方が多い気がしているから。
複数の女性を囲うスタイルを崩さないのも、一人から返ってくるギブの少なさに耐えられないから。
「最後通牒ゲーム」が示す通り、人間は不平等を嫌う。
僕も例外ではない。
与える総量が圧倒的に多い関係は、いつか必ず破綻する。

だからこそ、本気で面倒を見ると決めた相手には「徹底的な自立」を強いてきた。
彼女はその最高事例になった。
経済的にも精神的にも誰にも依存しないどころか、溢れる愛を周りに振りまけるほどになった。
で今日、彼女は念願だったEU移住のため、関空から飛び立っていった。
見送ってる最中、ぶっちゃけ手放すのが惜しいと思ってしまった。
ギブの総量なんて、どうだっていいとさえ思ってしまった。
久しぶりに、かなり考えさせられた一日だったな〜。
たぶん一生忘れないと思う。

そう思いながらも、普通に夜にバーに向かう自分には驚いたよね。
相手を完璧に自立させ、最高の結果を与えたつもり。
でも、僕はいつもその外に放り出されてしまう。
救った相手が光の中へ行くのを見送り、自分はまた別のギブを求める人の元へ戻っていく感覚。
僕の人間性ってなんなんだ。
自分の報われなさをあらかじめ設計に組み込んでいるパラドックスを何とかしないと、自分の人生が持たない気がしてるここ最近。